« 「ニュー・シネマ・パラダイス」 | トップページ | 「野ばら」 »

「アラビアのロレンス」

「Lawrence of Arabia」1988年【英】、デビット・リーン監督。

映画界に燦然と輝く名作の一本。
しかしとりあえず言います。
長い。
ひたすらに長い。
それだけは覚悟しなければ絶対に見れない作品です。

さて、感想です。
それほど映画マニアでもファンでもないので感想も薄いものになってしまいますが、ご容赦を。
アラビアンな文化がなんとなく小さい頃から好きだった私。
それでいくと舞台は完璧です。
広大な砂漠、蜃気楼、「砂漠の舟」とも称される駱駝、民族衣装。
アラビアンが好きな方はこれだけではまれる要素がぎっしり。
そしてこれだけ徹底して余計な美女が一人として出演していない映画は、私は始めて見ました。
いえ、正直言うとアラビアンな美女がいつ出てくれるのかと(衣装が見たくて)わくわくして見てたのですが、結局1シーンたりとも女性が背景として以外出ているシーンはございませんでした。
しかし、この作品はこれで良かったのです。
昨今の作品はとりあえず必要の無い美女やら必要の無いロマンス要素が必ず入っていて興ざめすることもありますので。

まぁ言ってしまえばほぼ戦争映画ですので、話的には好き嫌いはでると思います。(その前に長さに挫折する方もいらっしゃるでしょう)
それでもこれは一人の男の伝記です。
見ごたえがあるのは前半だと思います。わくわくする冒険的なものも。
しかし、人間としての奥深さ、苦悩、英雄と祭り挙げられていた者の挫折、理想と現実、そういったリアリティのあるストーリーは、後半にこそ詰まっています。
だからこその2部構成。この映画は2種類の映画によって構成されているのだと感じます。
一番「おお!わかりやすい!!」と思った解説としては、アマゾンのカスタマーレビューで「旧775」さんが書いたコメント。
義経=ロレンス。
言われて見ればものすごく良く似ています。
そうするとアリは弁慶、ファイサル王子は頼朝ってとこでしょうか。
「二人とも戦いには恐ろしいまでの力を発揮するのに、政治的駆け引きが下手だから最後は不遇」
この一言がストーリーをすべてまとめて下さっています。

歴史に残る名シーン、名台詞の数々。
どなたもきっと思うでしょう。
この映画は、あの当時だからこそ作れ、そして現在では決してリメイクなんて出来ないと。
自然のロケーションで、本物のエキストラを使ってこそのあのクオリティ。
現在では100%お手軽(技術もお金もかかりますが)に乱用されているCGを使うことができなかった時代だからこそのあの臨場感。
CGは確かに技術の革新で本物同然、本物以上の迫力を出すことが出来ます。
ですが、どこか「薄く」感じてしまうのです。
3Gで作られているにもかかわらず、薄い。存在感も何もかも。
かといって手作り風味がまだ残っていた頃のCGを見ると現在のCGのありがたみが良くわかるのですが。
それでも。
「自然」と「本物」のパワーには勝てないのだと思います。
ストーリーを好きになれない方も、この映像と背後に流れる音楽のすばらしさにはきっと共感していただけるはず。

キャスト。
これもすばらしい。
主役のピーター・オトゥールは言うに及ばず。
アリ役のオマー・シャリフがかっこよすぎ!
すばらしい貫禄と品のファイサル王子役のアレック・ギネス。
「彼こそアウダだ!」と監督に言わしめたアウダ役のアンソニー・クイン。
輝いております。

私はメイキングを見るのが大好きなのですが、完全版にはありがたい事にそのメイキングが特典ではいっております。
本編を見た後こちらを見たのですが、「あのシーンはこんなことが!」とか裏話が満載で、製作者には失礼なことですが、個人的に特典が一番お気に入りです。
なんでも完全版は、編集で切り取られてしまったフィルムが奇跡のようにあったのですが、その部分は残念なことに音声が入っていなかった(消えていた?)そうで、そこで当時のキャスト本人がその部分をアフレコして製作されたそうで、その映像がはいっています。
ピーター・オトゥールは、「今になってようやくロレンスの台詞が言える」というようなことを言ったそうです。
若かった当時には絶対に演じ得なかった深みが、長年の芸暦と人生の年齢によって演じることができた、そんなことが伺える、すばらしい言葉だと思います。
余談ですが、彼は「レミーのおいしいレストラン」の料理評論家の声もやっていらっしゃるとか!
それを知った時、私の中であの作品のランクがもう2段階ほど上がりました(笑)
(レミーもとっても良い映画でしたよ)

最後に私の心に深く突き刺さったファイサル王子の台詞を。
「あなたは将軍に過ぎない。私はいずれ王となる身です。」
王子、好きだー!!!!

|

« 「ニュー・シネマ・パラダイス」 | トップページ | 「野ばら」 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

あのテーマ音楽とラストシーンを思い起こすたびに、名状しがたい感動がわきあがってきます。それは単純なものではありません。「人生は素晴らしい」と感じる半面、やるせなさもおぼえます。でもトトの無邪気な少年時代、ひたむきな青年時代、やや虚無的な壮年時代。どれも共感の一語です。

投稿: あらえびす | 2007年8月17日 (金) 22時48分

先ほどコメントはニューシネマパラダイスです。
わたしは今から27年前、大学生の時に立川のロードショーでアラビアのロレンスを見ました。以来ピーター・オトゥールの大ファンです。オスカーに八回ノミネートして未だ受賞せず。彼の演技力に比肩する現役俳優は存在しないのでは。彼の演技に比べれば、米国のオスカー俳優なんて〝大根〟ですね。今秋公開されるヴィーナスが楽しみです。アラビアのロレンスは砂漠の繊細かつ雄大な表情、アラブとアングロサクソンの相克、ロレンスという不可思議な人間像、とにかく映画史上最高の傑作です。

投稿: あらえびす | 2007年8月17日 (金) 23時01分

あらえびすさま
2つ分もコメントをありがとうございます!
ニュー・シネマ・パラダイスもアラビアのロレンスも一人の男の人生という、素晴らしく大きなスケールの作品ですよね。
昨今のアメリカ映画の大作といわれる作品は見ているその時は楽しめても、後に残るものが無いものが多い。
この2作品は間違いなく後に心に深く刻まれる名作だと思います。
ピーター・オトゥールはオスカーに受賞されたことがなかったのですね!アカデミー名誉賞は受賞なさったそうですが。
アカデミー賞はあまり信用ができないものだと思います。あれは映画関係者が深くからんでいる賞らしいので。
あらえびすさまのオススメの、他の作品も教えてください。
ありがとうございました。

投稿: ボリーナ | 2007年8月18日 (土) 17時20分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/214229/7570054

この記事へのトラックバック一覧です: 「アラビアのロレンス」:

» LAWRENCE OF ARABIA (アラビアのロレンス) [CINEMA PARADISE - nostalgia for the pictures]
アラビアのロレンス 完全版ピーター・オトゥール ソニー・ピクチャーズエンタテイン... [続きを読む]

受信: 2007年8月17日 (金) 23時36分

« 「ニュー・シネマ・パラダイス」 | トップページ | 「野ばら」 »